AWS認定クラウドプラクティショナー
ソリューションアーキテクトアソシエイト試験合格体験記

現在、クラウド・コンピューティングに関する検定試験はクラウド・ベンダーごとに行われています。
 AWSに関しては、役割別の6資格、専門分野別5資格の認定検定試験があります。
 役割別試験は、初級レベル、中級レベルのアソシエイト、上級レベルのプロフェッショナルの3つのレベルに分かれています。初級はクラウドプラクティショナーの1資格、中級のアソシエイトは設計を担当するソリューションアーキテクトアソシエイトと運用を担当するSysOpsアドミニストレータアソシエイト、開発を担当するデベロッパーアソシエイトの3資格があり、上級のプロフェッショナルはソリューションアーキテクトプロフェッショナルと運用・開発の上級資格であるDevOpsエンジニアプロフェッショナルがあります。
 専門分野別にはセキュリティ、機械学習、データベース、データアナルティック、アドバンスドネットワーキングがあります。
 私は20212月にクラウドプラクティショナーを、20213月にソリューションアーキテクトアソシエイト試験を受験し合格しました。

・全体
(1)試験の概要
 AWS認定資格は、AWSを利用したクラウドの専門知識を証明する資格です。クラウド・コンピューティング・サービスは常に新しいサービスが開発され提供されるため、AWS認定資格の有効期限は3年間に設定されています。3年以内に再度試験を受けて再認定を受けるか、役割別資格の場合は上位資格に合格すると再認定されます。

(2)特徴
 特徴は、CBTComputer Based Test)で、通年全国で受験可能なことです。AWSアカウントにサインインすればPSI社、ピアソンVUEのサイトからいつでも申し込みができ、全国にある提携試験会場で受験できます。また、コロナ対策として自宅などからオンラインで受験することもできます。
 試験監督とのやりとりがPSI社は英語ですが、ピアソンVUE社は英語と日本語から選択できます。英語に自信のない私はピアソンVUE社で自宅から日本語で受験しました。試験問題形式は四者択一問題と複数選択問題です。
 試験を終了しアンケートの入力が終わると送信され、すぐに合否がわかります。その後、AWSサイトに得点などが掲載され認定証をダウンロードできるようになります。

・クラウドプラクティショナー試験
(1)概要
 クラウドプラクティショナー試験は、AWSクラウドについての総合的な理解を効果的に実証することを目的としていて、次の能力があることを証明するものです。
 ・AWSクラウドの概要および基本的なグローバルインフラストラクチャについて理解する
 ・AWSクラウドの基本的なアーキテクチャ原理を定義する
 ・AWSクラウドの価値提案について説明する
 ・AWSプラットフォームの主なサービスと一般的ユースケース (コンピューティング、分析など)について説明する
 ・AWSプラットフォームの基本的なセキュリティとコンプライアンスの側面、および共有セキュリティモデルについて説明する
 ・請求、アカウント管理、料金モデルを理解する
 ・ドキュメントまたは技術サポート (ホワイトペーパー、サポートチケットなど) のソースを特定する
 ・AWSクラウドにおけるデプロイと運用の基本的かつ重要な特徴を説明する
 試験時間は90分。1000点満点で700点以上が合格です。

(2)シラバス
 試験範囲は次のとおりです。
 ・クラウドの概念
   AWSクラウドの概念とその価値提案について説明する
   AWSクラウドエコノミクスの特徴を説明する
   多種多様なクラウドアーキテクチャの設計原理を定義する
 ・セキュリティおよびコンプライアンス
   AWSの責任共有モデルについて理解する
   AWSクラウドのセキュリティとコンプライアンスに関するコンセプトを理解する
   AWSのアクセス管理機能を特定する
   セキュリティサポートのリソースを特定する
 ・テクノロジー
   AWSクラウドにおけるデプロイと運用の方法を理解する
   AWSのグローバルインフラストラクチャについて理解する
   AWSの主要なサービスを識別する
   テクノロジーサポートのリソースを特定する

(3)試験対策本
 クラウドプラクティショナー試験対策本は数種類出版されていますが、私は『AWS認定資格試験テキスト AWS認定 クラウドプラクティショナー』(SBクリエイティブ)と、『AWS認定クラウドプラクティショナー模擬問題集 Kindle版』(Amazon)を使用しました。
 テキストをまず章ごとに読んで理解し練習問題を解いていきます。章ごとの練習問題の中には難しい問題もありますので、確実に理解し解いていけば合格レベルに達します。
 次に問題慣れするために、問題集を解いていきます。その後、他の試験と同様にテキストを読んで練習問題を解き、問題集を解くということを繰り返します。テキスト、問題集ともに初級レベルを超えているのではと思われるような問題もありますが、実際の試験でも数問そのような問題が出題されますので、慣れておいた方がよいと思います。

(4)参考資料
 AWSサイトに資料や教材がありますので、これらを参考にされるとよいと思います。また、上位のテキストに目を通しておくことも難問対策として有効です。私は、『改訂新版徹底攻略 AWS認定ソリューションアーキテクトアソシエイト教科書[SAA-C02]対応』(インプレス)を購入しザっと読んでおきました。
 模擬試験がPSI社、ピアソンVUE社から有償で提供されていますが、本試験よりも易しい問題が多いので、模擬試験で7割取れたからといって合格レベルに達しているとは言えないと思います。試験形式に慣れるという意味では有効です。
 拙著『ITコンサルタントが書いたデジタル技術入門』(Kindle本)や研修コースシリーズ「デジタル技術超入門」のクラウド/アジャイル編や「SEのためのデジタルシステム入門」のAWSAzure編もご参考にしていただければと思います。

(5)試験・発表
 ピアソンVUEの試験を自宅で受験しました。受験の注意に従って、試験を受けるパソコンは追加ディスプレイなど接続機器をすべてはずし、机の上のものはすべて片付けました。ネットには有線接続した方がよいとのことなので有線で接続しました。
 受験する場所は周りに何もないようにする必要があるとのことでしたが、私の机の後ろはリモート会議用に幕を引いてあり、前と右手は窓なので問題なし。ただ左手には大きな本箱があるのでこれはダメ。これを隠す大きな布はないのでタオルケットで代用し隠しました。
 受験時刻の30分前にログイン。受験前にパソコンのチェックがオンラインで行われ、アプリをダウンロード、セットアップ。試験場所を確認するために、スマホかパソコンのカメラで机のまわりの写真を撮り送ります。その後、試験監督からチャットで指示を受けます。再度机のまわりをカメラで見せてくれと言われたり、手首を見せてくれと言われたり、いろいろチェックされます。
 チェックがOKになると試験問題が送られてきて、チャットで問題が表示されていることの確認を受けた後、試験開始です。試験中はパソコンのカメラで監視され違反行為があるとチャットで注意されます。
 試験問題はG検定と同じように初めの方に難しい問題が出てきます。これにめげずに進めばテキストや問題集レベルの問題が出てきますので挫折しないようにしてください。
 60分くらいですべて解答。時間が十分あるので、一問目から見直し。読み間違いや選択ミスしていたものを修正して時間いっぱいまで粘って終了。
 アンケートを入力して結果を確認。合格でした。その夜にAWSサイトに結果が登録され認定証がダウンロードできました。得点は1000点満点中893点でした。

・ソリューションアーキテクトアソシエイト試験
(1)概要
 ソリューションアーキテクトアソシエイト試験は、次のような受験者の能力が検証されます。
 ・顧客要件に基づいてアーキテクチャ設計原則を使ったソリューションを定義する
 ・プロジェクトのライフサイクル全体を通じて、ベストプラクティスに基づいた実装ガイダンスを組織に提供する。
 試験時間は130分で1000点満点の720点以上で合格です。

(2)シラバス
 試験範囲は次のとおりです。
 ・レジリエントアーキテクチャの設計
   多層アーキテクチャソリューションの設計
   可用性の高いアーキテクチャやフォールトトレラントなアーキテクチャの設計
   AWS のサービスを使用したデカップリングメカニズムの設計
   適切な回復力のあるストレージの選択
 ・高パフォーマンスアーキテクチャの設計
   ワークロードに対する伸縮自在でスケーラブルなコンピューティングソリューションの識別
   ワークロードに対するパフォーマンスとスケーラブルなストレージソリューションの選択
   ワークロードに対するパフォーマンスが高いネットワーキングソリューションの選択
   ワークロードに対するパフォーマンスの高いデータベース ソリューションの選択
 ・セキュアなアプリケーションとアーキテクチャの設計
   AWS リソースへのセキュアなアクセスの設計
   セキュアなアプリケーション階層の設計
   適切なデータセキュリティオプションの選択
 ・コスト最適化アーキテクチャの設計
   コスト効率が高いストレージソリューションの識別
   コスト効率が高いコンピューティングおよびデータベース サービスの識別
   コスト最適化ネットワークアーキテクチャの設計

(3)試験対策本
 ソリューションアーキテクトアソシエイト試験対策本は何種類も出版されていますが、私は『改訂新版徹底攻略 AWS認定ソリューションアーキテクトアソシエイト教科書[SAA-C02]対応』(インプレス)を使用しました。
 問題集は書籍がなかったため、eラーニングでudemy社「【SAA-C02版】AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイト模擬試験問題集(6回分390問)」を使用しました。
 教科書をまず章ごとに読んで理解し練習問題を解いていきます。章ごとの練習問題は試験問題に比較するとかなり易しいです。これを確実に解けるようになっても合格レベルには達しません。
 この教科書にはHPからダウンロードできる模擬問題が付いています。これは試験レベルに近い内容ですので必ずダウンロードして解くようにしてください。
 クラウドプラクティショナー試験は各サービスの内容を理解していれば答えられるレベルの問題で問題文も短くすぐに解答できますが、この試験はサービスの知識を持ったうえで事例に対してどう対応すべきかという問題が多く問題文も長いです。そのため、正しく問題文を理解してから解答することが求められます。AWSの知識以上に読解力が求められる試験かもしれません。
 これに慣れておかないと合格できません。そのため、教科書付録の模擬問題だけでなく、eラーニングの問題集を解いて文章問題慣れしておく必要があります。この問題集は難しい問題が多く、最初は5割程度しか正解できませんでしたが、解答の解説や関連する部分の教科書をよく読めば理解できます。何度も解くことで最終的には8割以上の正解率になりました。

(4)参考資料
 クラウドプラクティショナーと同様AWSサイトに資料や教材がありますので、これらを参考にされるとよいと思います。また、上位のテキストに目を通しておくことも同様に難問対策として有効です。私は『AWS認定ソリューションアーキテクトプロフェッショナル~試験特性から導き出した演習問題と詳細解説』(リックテレコム)を購入し前半の部分だけ読んでおきました。
 模擬試験もクラウドプラクティショナーと同様に、PSI社、ピアソンVUE社から有償で提供されています。クラウドプラクティショナーの模擬試験よりは本試験に近いレベルの問題が多いので、レベル判定にも有効だと思います。
 クラウドプラティクショナーと同様に、拙著『ITコンサルタントが書いたデジタル技術入門』(Kindle本)や研修コースシリーズ「デジタル技術超入門」のクラウド/アジャイル編や「SEのためのデジタルシステム入門」のAWSAzure編もご参考にしていただければと思います。

(5)試験・発表
 クラウドプラクティショナー試験と同様にピアソンVUEの試験を自宅で受験しました。試験開始前の準備やチェックなどはクラウドプラクティショナー試験と同様です。
 文章問題が多いので1問当たりの解答時間が長くなりがちです。四者択一か5つ以上の選択肢から複数を選ぶ問題なので、問題文を理解したら、まずこれはないなというのを早く見つけて解答の候補から外し絞り込むべきです。あとは残った候補の中から妥当なものを選べば解答時間を短縮できます。
 また、試験時間が130分と長いので集中力が切れないようにするのがたいへんです。体力勝負の面もあります。
 90分くらいですべて解答。残りの時間で、一問目から見直しましたが、見直すのに結構時間がかかり、すべてを見直し終えたのは時間ぎりぎりでした。
 アンケートを入力して結果を確認。合格でした。その夜にAWSサイトに結果が登録され認定証がダウンロードできました。これによりクラウドプラクティショナーの資格も更新され有効期限が1ヶ月延びました。得点は1000点満点中777点でした。